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取引慣行論レポート
 大変お待たせしました。取引慣行論レポートをPDFでアップロードしました。
 4年くらい前からあーでもないこーでもないといじくり回してきた理論モデルがあるんですが、やっと完全に解けそうなアイデアが浮かびました。当たり前のことをちゃんと証明するのは大変です。「魔女の宅急便」の中の有名なシーンじゃありませんが、もがいたりもがくのをやめたり大変なのか遊んでるだけなのか、いやもう諸方面にはご迷惑をかけました。
 これがお仕事、なわけではありません。あくまで、こういうお仕事もある、というだけです。
 価格競争が激しくなると、「差別化によって価格競争を脱却するべきだ」とよく言いますよね。飽和した市場の小売店がそれぞれ、全然価格比較も何にもしない、「高すぎる」価格でさえなければ必ずウチで買ってくれる固定客をすこしだけ持っているとします。その一方で、1円でも安いほうの小売店に動く客もたくさんいるとします。メーカーも複数いて、小売店を囲い込もうと売上高リベート(自社製品をたくさん売ったら仕入れ値を値引き/払い戻しする)を持ちかけます。もちろんメーカーの願いは、小売店が他社製品を犠牲にして、自社製品を有利に扱って(例えば目立つ棚に置いて)くれること。
 2メーカー、2小売店だと、どうなるか。市場を折半?
 均衡がない。というのが私のモデル。ゲーム理論をかじっている人しか分からない言葉を使うと、混合戦略均衡すらありません。
 とうとう並河もトンデモ本を? いや、考えてみるとよくある話。例えば「1より小さい数で、大きな数を言ったほうが勝ちなゲーム」をお友達とやって御覧なさい。互いに「0.999999999999999999999999999999999…」と言い合ったまま、息の長いほうが勝つ(いや、そういうゲームではなくて)はず。相手が何をやっても、自分はそれに「市場対応」する余地が必ずあって、ヘロヘロになってもそれが続きますよと。そういうことです。
 例えばメーカーが小売店を味方につけようとしたら、小売店に利ざやをあげないといけません。ところが隣の店も自分の店も利ざやが確保できているなら、小売店はそれを削って他店の客を奪いにかかります。「共倒れだぁ」と小売店もメーカーも分かっているけれどどうしようもありません。メーカーが販路を締め付けにかかっているあいだに、他のメーカーがもっと大きな利ざやをちらつかせて、ライバルメーカーを蹴落としにかかります。そんなこんなしているうちに、固定客だけ相手にしたほうがましな利潤に縮んでいくので、小売店(とメーカー)が価格競争から手を引きます。そうすると小売価格が上がって以下繰り返し。モデルの中にはそういう筋立てはなくて、単に「均衡がない」といっているだけなんですが、現実世界ではそういうことになっているはず。
 あるビジネスモデルが有利になるような理論モデルは、組めば組めることが多いのですが、均衡がない中でグルグルやってる、というほうが、何だか私の直観には合いますね。
| 並河 永 | 授業日記 | 13:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
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